一足先に春を届ける、甘い香りのスイートピー

寒い冬を彩る春の花が出回る季節になりました。
はなぞくかぞくでは、栃木県の角田盛一さんのスイートピーを販売しています。

栃木県で唯一のスイートピー産地。ちなみ、日本の切り花スイートピーで最も北に位置しています。
角田さんのスイートピーの特徴は、とにかくステムが長いこと、そして花がたくさんついていること、そして蕾がたくさんついていることです。
一般的なスイートピーは開いた花のみ付いていることが多く、スイートピーの蕾は珍しいものです。

今回も角田さんのスイートピーを福島県で活動している円谷しのぶ先生に、スイートピーの楽しみ方を教えていただきます。

雪を背景にしたスイートピー、すごく映えますね！
「福島はすっかり冬で雪景色のなか、撮影しました。こちらは届いたばかりのスイートピーで、今回はピンクと紫の濃淡の３色でした。それぞれを色別のまま花瓶に生けたところです」。

「こちらは３色のスイートピーを同じ花瓶にざっくりと生けましたが、それぞれの色を塊（グルーピング）しています。シンプルなデザインが好まれる時代であり、こんな風に色を混ぜすぎない方が角田さんのスイートピーも引き立ちますね」
それぞれの色で束ねて花瓶に挿すときに、茎の角度で調整するという感じでしょうか？
「そうです。ここでは１つの花瓶に生けていますが、いくつかの花瓶に分けてディスプレーしても素敵ですよ」
円谷先生のお得意なテクニックですね。
「茎が長いという特徴を生かして、低い器に横に流して、広さを出したり、まっすぐに生けることで高さを強調したり。それぞれの組み合わせで、飾るスペースに応じた楽しみ方ができます」

シンプルですが、１色だけ１つの花瓶よりも華やかで、色合わせや器で変化が楽しめますね。
スイートピーの横に倒れた姿も新鮮です！
「それに、せっかく10本というボリューム感のある量なので、１色でまとめるとかなりインパクトがあります。ほかの花や葉を入れずともスイートピーだけで楽しめますね。さて、次はちょっと雰囲気を変えて、ざっくりと紫のスイートピーを生けてみました」

おお！大人っぽい。なんというか、パリっぽい印象です。

「ピンク色のスイートピーは可愛い印象が強いですが、紫はクールな印象を与えてくれます。深い紫と淡い紫をほどよく混ぜてざっくりと花瓶に入れました。口元が円形の器なので、手元で束ねて生けるだけでも決まり、空間の広がりも生まれます」
本当に。なんだか冬だけど、爽やかな春の風が感じられます。
「そして同じ花を角形の花瓶にも生けてみました。こちらは口元の形が角張っているので、最初の器よりも空間が広がりません。それを逆手にとり、どちらかの角度に傾けて生けると決まりますよ」

同じ花でどちらもガラスの花瓶ですが、印象が変わりますね。
「スイートピーはクリアなガラスの花瓶だと、優しく軽やかな雰囲気が際立ちますね。陶器に生けると、また表情が変わります。次は、背の高い陶器に高さを出して生けてみました。

３色のスイートピーをほどよくミックスして、ふんわりと生けています。1本の姿がわかるくらいの感覚ですね。器にワイヤーを丸めて入れて、花留めにすることで、高さを出すようにしています。

ただ、スイートピーだけなので、中心部分は茎を深く生けて、短めにしています。あとは高さを出したり、花を遠くへ飛ばしたり、先端の蕾の部分が綺麗に見えるように自由に生けることがポイントですね」
柔らかさもありながら、少し落ち着いた雰囲気だけれど、花が楽しそうな印象です。
「同じ器でピンクと紫をもっと分けたようにも生けてみましたよ。正面部分には、とくにピンクのスイートピーを目立つように生けました」
同じ花でも色の合わせ方で変わりますね。

「スイートピーは色をミックスしすぎない方が自然体で楽しめますね。花色もそのほうが落ち着いて楽しめる感じですよ。ここまでは、届いた状態の長さのあるスイートピーを生けてきましたが、少ない本数でも楽しめる方法もお伝えしますね」
この器、なんだか面白いですね！

「これはインスタグラムで見つけて購入した作家さんのティーポットです。蓮の葉が描かれていて、右側にある緑のものがティーポットの蓋で、蓮の実のような模様が入っています。ロシア人の方の作品なんですよ」
え？ロシアの方の器をインスタグラムで見つけて購入したのですか？
「そうなんです。英語でやりとりしながら買いました。作家さんの名前はロシア語で読めないのですけどね。スイートピー3本を花の部分を２つにカットして挿しています。スイートピーの蕾部分の俯いている姿が愛らしいので。角田さんのスイートピーは長さがしっかりあるので、切り分けることでボリュームも出ますし、楽しみ方が広がりますね」
器のユニークさに負けないかわいい作品ですね。長さを生かしたり、切り分けたり、蕾の形を楽しんだり、角田さんのスイートピーにはたくさんの楽しみ方がありますね。
次回も円谷先生に冬のお庭の植物と合わせた、早春のスイートピーの楽しみ方を紹介します。お楽しみに！

【教えてくれた人】
円谷しのぶ先生　福島県出身。大学卒業後、都内の花店で働きはじめたことをきっかけに花の道へ。その後、大手花店の本社教育担当やグリーンショップ担当など幅広く活躍。現在は福島県にある自宅で、庭の花を使ったレッスンやクラフト、和ハーブの教室などを開催中。
Instagramはこちら➤https://www.instagram.com/shinobu_t_2v/

text：はなぞくかぞく編集部

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enjoy flower！