ロマンティックにもシックにもレトロも楽しめる
広島県のブリーダー今井さんの麗しのバラ

はなぞくかぞくでは、広島県呉市のROSETIQUE JAPAN＠今井ナーセリーのバラの取り扱いをスタートしました。今回も福島県で活動をされている円谷しのぶ先生に、今井さんのバラの楽しみ方を教えていただきます。

クリスマスも過ぎ、すっかり冬到来の日本列島ですが、寒い季節に嬉しいのはバラの日持ちがぐん！とよくなっていることです。さて、円谷先生、今回のお花はどうでしたか？
「やっぱり、バラはいいですね！というくらい、気持ちがあがりましたね」

「箱を開けると素敵なピンクのバラが入っていて、どれも香りがよく、嬉しくなりました！」
今回、円谷先生のところに到着したのは、ROSETIQUE JAPAN＠今井ナーセリーの【香りの薔薇】人気品種ピンクMIX１０本です。

「品種名はついていないので、名前はわからないのですが、花ごとに香りも違ううえに、花の形もさまざま。箱を開けた瞬間からときめきましたよ」
今井ナーセリーのこのバラは香りも魅力です。ぜひ到着したら、まず香りを楽しんでくださいね。
「到着してしっかり一晩かけて水を吸わせて花瓶に飾ったのはこちらです。

もう、これだけでの十分なボリュームと存在感です。オールドローズのような雰囲気のバラがたっぷりあるので、これだけでも見応えありますね。しっかり水を吸ったら、到着時よりも綺麗に開いてきましたよ」
おお！もうこれはテンションがあがりますね！甘すぎる気もするピンクのバラですが、やっぱり華やかでいいですね。
「本当に！手前の花びらが多いバラもしっかり外側に花弁がそりかえってきて、そんな変化もいいですね」

「こちらは、先程と同じ花瓶で長さを変えずに、花を左右に広げて生けてみました。届いた長さは大体60cm程度で、茎が細くてしなやかななので、やわらかいカーブが楽しめるようにしました。今井さんのバラはこの佇まいが魅力ですね」
絵になる生け方ですね！
「今回はさまざまな素材の器に生けてみました。器の素材と形で印象も大きく変わりますよ。最初は白い陶器の器です。口が広いものです」

茶色い枝と一緒に生けていますね。
「お隣のおうちがキウイを育てているので、分けてもらったキウイの蔓です。最初にキウイ蔓を２、3本生けて、そのあとにバラを生けていきます。バラを蔓により掛けるようにして、奥のバラを立たせています。まっすぐに立つようなタイプのバラではないので、こういった仕掛けをすると生けやすいですよ。キウイの蔓をもっと使おうかと思いましたが、蔓が多いと野趣的になり、華やかなバラの魅力が半減するので、あえて少なめに太いものを入れました。口元が広い器なので、こういった花留めを使うとまとまりますよ」
確かにバラだけでこの器をまとめようとすると、長さを短くしないと難しそうですね。

次の器はガラスでしょうか？黒いガラスですね。
「そうです。不透明の黒いガラスの器です。丸い形でこちらはあまり茎が見えないようにかざりたかったので、短くカットしました。今回届いたバラの色、まさにローズピンクと黒いガラスの相性がとてもよく、大人っぽい雰囲気になりますね。器の形が球体でシンプルなので、華やかなバラともいいバランスです。実は今回のような球体の器は、花が生けにくいものです。茎を長いまま生けると、器のなかで茎が滑ってしまうのです。また今回のバラは花が大きく、茎が細いので、前に倒れやすいので、なかに剣山を入れています。一般的なバラで剣山を使うと、花がまっすぐ上を向いて、情緒がありませんが、今回のバラはしなだれるので向いていますよ」
それぞれの花の姿を活かして生けているのですね。ちょっと俯いたバラの表情もすごく素敵です。

「次もガラスですが、最初に10本生けた花瓶と同じデザインで一回り小さなサイズのものです。3本のバラとヤツデの実、アジサイを合わせてみました」
今の季節っぽくない爽やかな色合い！
「たまたま、隅田の花火というアジサイが最近、庭で咲いたので、それにまだ色付く前のヤツデを合わせて、バラの旬の５、6月をイメージしてみました。10本で飾るのも素敵ですが、２、3本のバラとほかの花を合わせるのも手軽ですね」
確かに10本だと豪華すぎてしまうこともありますね。
「さらっと合わせるのに、こんな色はいいですね。ピンクの華やかな色に白や明るいグリーンは合います。アジサイの旬とバラの旬も近いので、相性もいいですね」

「キウイの蔓と合わせた器に今回はブーケで合わせてみました。こういうオールドローズのようなバラを爽やかな感じではなく、重厚な雰囲気にしたいときは、濃い緑の葉物がとても合います。そこで庭にあるガマズミ、キヅタ、アイビー、シダなどを合わせてノスタルジックにまとめてみました。まずは葉物だけで組み、そしてグリーンのなかへバラを入れています」

まず、最初に葉物だけでブーケを作っているのですね。
「そうです。結束までして、バラを間に差し込んでいきます。仕上がったら、器の縁にもたれかけるように生けています。私のなかではイギリスを意識した雰囲気に仕上げてみました。イングリッシュガーデンを想起させるバラですよね」
さっきのアジサイとヤツデとの雰囲気とはうって変わって、シックで素敵ですね。
イギリスの秋のお庭の情景のようです。

「今回はせっかくなので、一輪挿しのテクニックも。宮廷画家のルドゥーテが描くバラの絵を意識してみました。実際、オールドローズのようなバラは、茎が細く頭が重いのでまっすぐに生けるというのは難しいのです」

それをこちらでやっているのは、何か仕掛けを使っているってことですね。
「そうです。

器のなかで、木のピンチで茎を固定して立たせています」
ほんの少しのテクニックで見え方が大きく変わるんですね！

「最後は濃いピンクのバラと和の陶器との組み合わせです。中央の大きく開いたバラは花びらの枚数が多く、また外側の花びらがそりかえっているところが、いわゆるバラらしいバラという印象です。私のなかでは、この花は、ヨーロッパのイメージよりも、日本人にとってレトロな雰囲気のバラのように感じました。なので、陶芸家の渡辺安里さんの花紋印を押しているシックな陶器に先程のバラを主役に7本のバラで

大正、昭和の画家が描く、油絵の静物画のような雰囲気に仕上げました」
おお！これは、こんな絵が昭和の時代には飾られていたような。あらためて、バラは絵になりますね。欧州の雰囲気があるバラが器によっては、こんなにジャパニーズになるというのも面白いですね。
「どんな風に生けても素敵なバラですが、1本1本の表情をみながら器や合わせる花を選んでいったり、見せたい世界観を考えて選ぶとまた楽しいですね」
円谷先生、今回もありがとうございました。

【教えてくれた人】
円谷しのぶ先生　福島県出身。大学卒業後、都内の花店で働きはじめたことをきっかけに花の道へ。その後、大手花店の本社教育担当やグリーンショップ担当など幅広く活躍。現在は福島県にある自宅で、庭の花を使ったレッスンやクラフト、和ハーブの教室などを開催中。
Instagramはこちら➤https://www.instagram.com/shinobu_t_2v/

text：はなぞくかぞく編集部

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