《アルストロメリア》名脇役をメインに飾る！―Part2　ボリューム感、カラバリと日持ちのよさが魅力

はなぞくかぞくでは、山形県鶴岡市の阿部 秀和さんのアルストロメリアを販売しています。
Part1では福島県で活動をされている円谷しのぶ先生に、花の色、付き方、大きさの違いによる飾り方を中心に教えていただきました。
引き続き、アルストロメリアの飾り方を教えていただきます。恒例のお庭の植物で、秋らしい飾り方も教えていただきましょう。

円谷先生、前回はアルストロメリアだけで飾るとき、それぞれの配置なども細かく教えていただきましたが、そんな難しいことできないよ！という人も多いと思います。そんな人が手軽に飾れる方法ってありますか？
「色の好みなどはありますが、花瓶に1本ずつ生けていくよりも、手でブーケ状に組んで飾る方法があります」

「それがこちらの飾り方です。一見しても、ブーケ状に組まれている感じではないですよね？器の縁がちょうど茎の隠れる高さなので、丸いアレンジメントのような雰囲気で楽しめます」
ピンクの‘ステファニー’と赤の‘ルシア’だけで合わせているから、同系色でスッキリしていますね。ころんとして可愛いです。
「同じ花で器を変えたものがこちらです」

stiffany & rusia

わー！さわやか！
「ガラスの花瓶だと同じ花でも印象が変わりますよね！こちらは傾けて生けました。さっきよりも、ふわっとした雰囲気になります。アルストロメリアの間には、ベニカナメモチという街路樹で使われる枝を入れて、花と花の間のクッション（アンコ）として使っています。ブーケ状にするのに、輪ゴムなどで茎を縛っておくので、形もキープしやすいのも手頃です」
確かにブーケだと、水換えとかで形が崩れないので、手軽ですね。
「アルストロメリアのいいところは、ボリューム感があることと、頭の高さが揃えやすいことです。このブーケでは使ったアルストロメリアは4本だけ。すごいボリュームで、お得感があるな、と改めて思いました」
4本！なんと、すごい！少しの本数でもゴージャスな気持ちになるのは嬉しいですね。

「ボリュームのある花なので、葉物だけを合わせるだけでも十分です。合わせる葉物（グリーン）で、飾った時の印象は大きく変わります。先程のブーケは、クッションだったので、葉が少し見える程度ですが、今度はキリッとした表情にしてみましょう」

この大きな葉は、ハランでしょうか？
「そうです。ハランです。ハランは葉物の中でも、面が大きいもの。グリーンの見た目が増えるので、アルストロメリアの花色が引き立ち、キリッと見えてきます」
他にこんな感じで楽しめる葉物は？
「モンステラやアンスリウム、ヤツデの葉なども同じ感じで合いますね」
おお！確かに今までのお花でふわふわとした感じとは違った見え方です。ハランが大きいいので、存在感もアップしましたね。

「合わせる葉物でシャンペトル風にもできますよ！」
シャンペトル風とは、フランス語で田舎風という意味。野原で摘んできたような印象のブーケなどをシャンペトル風と言われています。
華やかなアルストロメリアだと、シャンペトル風というのは意外ですが。

うわー！素敵！今までのアルストロメリアのイメージが大きく変わりますね！
「そうなんです。雰囲気が出ましたね！これもアルストロメリアの特徴を生かし、高低差を付けずに、白とピンクのアルストロメリア4本を塊として生けています。奥に庭のネコジャラシとスモークグラスで高さを出しています。シャビーな雰囲気が出ましたね」
本当に！ちょっとびっくりです。
アルストロメリアを生けるときは、向きなどは意識しなくてもいいのですか？
「花の高さを揃えるときに、合わせる花の枝分かれしている部分を中心に揃えてから、足元をカットすると纏まるので、それを気にするくらいで大丈夫です。特に同じ品種だと、ばらつきもないので、花の向きなどは考えずに、整いますよ」

初秋の今に、この雰囲気はぴったりですね！
「そうなんです。スモークグラスなどのグラス系と呼ばれる葉物は、ナチュラルで素敵ですよね。今度は、小さい器にも合わせて見ました」

parl

「ダークカラーのピッチャーに、小輪の‘パール’、白いミズヒキソウ、スモークグラスを合わせています。段咲きの‘パール’は、花がたくさんついているのですが、シャンペトル風や素朴な雰囲気だとボリューム感がありすぎるので、３輪ほど外して隣の小さな器にも生けてみました」
こちらも可愛い！暗い色の器にグリーンが引き立ちますね。

「花にそっと蔓ものを合わせるのも素敵ですよ」

pinkparfe

「花が大きい‘ピンクパフェ’2本をメインに、赤いアルストロメリアは花首だけでカットしたものを合わせています。‘ピンクパフェ’は花首が短いタイプ。でもボリュームはあるので、2本もあれば四方見ができてしまう。こんな感じで生けてダイニングテーブルなどの中心に飾ることができます。蔓もののツルニチニチソウを長くすることで、空間の広がりもカバーできます」
シンプルで爽やかだけど、可愛いですね。
「そうですよね。この‘ピンクパフェ’を和の雰囲気にも生けてみました」

pinkparfe

「花がコンパクトにまとまっているので、生けやすい品種です。アルストロメリアは多少矯めを効かせることもできるので、いけばなのような生け方もできますよ」
わー、この和の雰囲気は、料亭みたいですね！タケニグサ、アシ、ドクダミ、オオイヌタデですね。タケニグサの大きな葉がおもしろいです！
「こちらよりも、もっと素朴な和の感じにも生けてみましたよ。ニュアンスカラーの‘マティーニ’と‘ホワイトハート’で、草花風にしてみました」

Whiteheart & stefany

パリのシャンペトル風とは一転して、日本の秋って印象ですね。
「アルストロメリアは季節感があまりない花ですから、あえてシュウメイギクの黄葉した葉と白いタデで秋を足してみました。花色が控えめアルストロメリアとの組み合わせは風情がありますね」
本当に、アルストロメリアの印象が大きく変わりますね！

「あと、秋らしいといえば、実ものがあるので、そちらとも合わせてみました」

トウガラシやスズメウリと一緒なのも新鮮！
「陶器のコーヒーカップにスズメウリ、トウガラシ、ユーカリの実や秋色アジサイを合わせています。赤いアルストロメリアを引き立ててくれますね」

「こちらは、花首でカットしたアルストロメリアを生かしてみました。剣山を使ってゴブレット形の器に、ハマギクの葉とアカジソの花を合わせました。ここで使ったアルストロメリアは、大きく生けたときに、カットしたものを利用しています。こんな飾り方もできるので、花の向きやボリュームがありすぎるときは、１、２輪カットしても無駄にならないですよ」

小さな花瓶に生け直してもいいし、こんな風に剣山を使って楽しむのもいいですね。

「最後ですが、グリーンの‘パール’をたくさんのグリーンと合わせてみました。シロヤマブキ、ホーリーバジル、スイートバジル、コニファーをスクエア型のガラスに生けてから、アルストロメリアを生けています。庭のハーブを楽しむように、キッチンなどに飾ってみるといいですね」
バジルやコニファーの香りもいいですね！グリーンでまとめると、ナチュラルだけど、スタイリッシュですね。ホーリーバジルの紫の花が差し色もいい仕事してますね。

今回もアルストロメリアをさまざまな生け方を教えてくださってありがとうございます。
「アルストロメリアだけを生けるという機会はあまりなかったのですが、季節に応じた楽しみ方ができる花だな、と改めて感じましたね。春ならボリューム、夏なら日持ち、秋なら色など、そこに足りないものを他の花材やグリーンや実などで補っていくと、より広がりがあるように感じました。皆さんも色々と楽しんでみてください」

円谷先生、今回もありがとうございました。

【教えてくれた人】
円谷しのぶ先生　福島県出身。大学卒業後、都内の花店で働きはじめたことをきっかけに花の道へ。その後、大手花店の本社教育担当やグリーンショップ担当など幅広く活躍。現在は福島県にある自宅で、庭の花を使ったレッスンやクラフト、和ハーブの教室などを開催中。
Instagramはこちら➤https://www.instagram.com/shinobu_t_2v/

text：はなぞくかぞく編集部

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