田村さんの”クレマチス”の楽しみ方 part2
高知県の田村善稔さんのクレマチスは、クレマチスの中でもベル鉄線などと呼ばれる、小輪系のクレマチスです。
その1に続き、ご自宅で気軽に楽しめる飾り方をフローリスト歴30年以上の円谷しのぶ先生に伺いました。
今回は、手軽で人気の高い一輪挿しを中心に教えていただきましょう。
「この陶器は、福島の作家、福島県三春町 渡辺安里さん(わたなべあんり)さんのものです。一般的に花瓶に行けるときは、花が上を向くように、つまり立てて生けることが多いですが、今回の蔓のクレマチスは蔓の流れに沿って横に流すことができるので、器と花の距離が遠くなります。そのことでより軽やかに見えてくるのです。むしろ、これくらい重たい印象の器の方が、クレマチスの蔓の魅力や軽やかさが際立ってきますよ。花が小さいけれど、存在感があるのは蔓の動きの効果ですね」
天使の首飾り
なるほど、ついつい、花を生ける時は真っ直ぐ上に向けたくなるものですが、こんな風に楽しむこともできるのですね。器と花の距離が遠いことで空間自体も軽やかに見えてきますね。躍動感がありますね。
シックな紫の壷型の‘ロウグチ(籠口)’。こちらは蔓というより短くカットしたものを生けていますね。
「そう、短くカットしてもいいんですが、枝を整理するときにカットしたものを使ってもいいですね。花一輪でもかわいいですよね。そんな感じで生けてみました」
古いミシンの横にちょこんと置かれた感じがアンティークショップのような光景で素敵です。
同じくミシンの横に置いた小さな一輪挿しも作家ものです。
「短く切って、茎を見せずに花と葉だけ見せたものです。長くても短くても楽しめますよ。茎も細いので、口の小さな器に生けられるのもクレマチスの魅力ですね」
確かに、作家ものの器で小さなものはとても口が細いこともありますね。何を生けようか迷ったら、クレマチス!というのもいいですね。
同じ花でも茎や蔓を生かした生け方はこちらです。
同じ器でも花の高さが変わることで印象が変わりますね。うまく、整理した枝を生かすのに役立ちそうです。
こちらは花色と器の色がリンクしてかわいいですね!
「この小さなガラスの器は、30年前にパリに旅行したときにアンティークショップで買ったものです。とっても小さいのですが、クレマチスのような小さな花を生けるのに重宝しています」
赤いガラスにゴールドの模様が素敵です。
「この器は益子焼です。上についている小さな蕾と合わせると、躍動感が出ますよ」
一輪挿しでも蕾や枝を効果的に使うだけで、色々な表情が生まれますね。
「そうですね。小さな一輪挿しだと、じっくり心を込めて生けることができるように思います。そしてやっぱり花も可愛いですが、生けるとより可愛いですね」
次は一輪挿しではなく、器を変えた一種生けです。
「この二つは、同じ品種‘アディソニー’を陶器とガラスで生けてみました。本数は5本です。蔓の新芽がアラベスク模様のようで楽しいので、シンプルなダークブラウンの器でそのフォルムを引き立てました。笠間で活動している作家さんのものです。ガラスの器は涼やかで、陶器に比べてやっぱり軽やかになりますね」
同じ花、本数でも器で印象が大きく変わりますね。葉のフォルムを際立たせるというのもユニークですね。
最後に、円谷さんのお庭の花と合わせた生け方を教えていただきましょう。
「その1で生けている白い器にざっくりと合わせた、たっぷりのクレマチスのなかに、お庭のブルーベリーの葉を奥に、ヤツデの葉を入れました。ヤツデの葉を入れることで、横に広がっていた花を上に立たせるだけでなく、クレマチスの蔓を葉に掛けるなど、生け方に広がりが出ます」
ほかの素材が入ることで、見た目だけでなく、生け方にも変化が出るということですね。ちょっと、葉に蔓をかけるとか、なかなか思いつかないアイデアです。
「整理をするときに、落した枝の活用として、ガラスの器を使って生けてみました。落した枝を束ねて、その周りに庭のコロニラを合わせています。エトワーズローズの落した葉も合わせています」。
高原の雰囲気のようでロマンチックですね。
それと、整理した枝を飾るというのもいいですね。整理するときに、花を無駄にしているんじゃないか、という罪悪感みたいなもの、きっと花を生け慣れていない人ほど感じると思いますが、無駄な花はないよ、というのもいいですね!何よりラブリーです。
「お庭で育てている人の多いアジサイとも合わせてみました。こちらは最初にクレマチスを生けて、アジサイを後から水に浮かないように生けています。クレマチスもアジサイも茎を見せないように器の縁を利用して生けています。田村さんのクレマチスは蕾でもどんどん開いてくるので、これくらいの蕾を飾って、花びらが落ちるまで楽しむのもおすすめです」
「さっきの生け方とは対照的に、アジサイをまず生けてその中に、‘天使の首飾り’を一本すくっと立てていけています。アジサイの中心に挿しています。ガラスの器との相性がいいですね」
「最後は大きめのガラスの器に、ブドウの葉とガクアジサイを合わせました。ブドウの葉は光沢のないマットな質感で私はとても好きなのです。花店では扱っていない素材ですが、水あげもよく面が大きいので、使いやすいのです。ブドウの葉を入れて、アジサイとクレマチスを生けています」
庭でブドウを育てているというのも驚きですが、素敵ですね。クレマチス‘踊り場’と額アジサイの花色がマッチしていて大人な雰囲気ですね。
円谷先生ありがとうございました。
皆さん、田村さんのクレマチスで色々な楽しみ方、飾り方をしてくださいね。丁寧にゆっくり楽しんでください。
【教えてくれた人】
円谷しのぶ先生 福島県出身。大学卒業後、都内の花店で働きはじめたことをきっかけに花の道へ。その後、大手花店の本社教育担当やグリーンショップ担当など幅広く活躍。現在は福島県にある自宅で、庭の花を使ったレッスンやクラフト、和ハーブの教室などを開催中。
Instagramはこちら➤https://www.instagram.com/shinobu_t_2v/
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はなぞくかぞく編集部