イングリッシュローズの楽しみ方　その１

愛知県のMIWA ROSE FACTORYさんのイングリッシュローズのミックスは、はなぞくかぞくでも人気の商品です。

可憐な魅力と豪華な雰囲気と、バラのなかでも表情が豊かで美しいイングリッシュローズ。この美しさを最大限に楽しむ生け方はあるのでしょうか？
そこで、フローリスト歴30年以上の円谷しのぶ先生に、自宅での楽しみ方、飾り方を伺いました。

「花を飾るときの大切なポイントは、その花のどこが魅力的か、どう見せたいかということです。中心が高い剣弁高芯咲きと言われる一般的なバラよりもイングリッシュローズは、開くとフラットになります。それは横から見るよりも、正面から見たくなる花なのです。愛らしい中心のロゼットも見たいし、見せたいですよね。イングリッシュローズは香りも魅力です。花と距離が近い方が香りも楽しめますね。」と円谷さん。た、たしかに、横顔のイメージよりも上から見た表情の方がイングリッシュローズらしいですね。都内の有名花店で長く働いていた円谷先生、最初からわかりやすいです。

まずは、５本や１０本など、まとめて華やかに飾る生け方を教えていただきましょう。

（ミックス）

バラの根元を揃えて、花の高さもあまり高低差がないようにまとめます。花瓶選びも大事です。フォルムはぷっくりとして、口が狭くなっているものを選びました。花瓶の口元に寄り掛かるように倒して飾っています。生け方はまとめたバラをバサッと生けるイメージで、前倒しに生けましょう。

斜め後ろから見ると、こんな感じで、花瓶の縁で固定されているのがよくわかりますね。
この飾り方は花瓶を真正面から見る場所に置くことも大事です。横から見ると、あれ？花が倒れているな、という感じになってしまいます。今回は、花瓶より下になる葉は取ってから生けています。

次はバラ２本での飾り方を伺いましょう。

次は２本で飾る場合です。円谷先生は「１本目のバラは、自分が見る方向に向けて生けましょう。それを生けてから、２本目は花の横顔を見るイメージで、１本目に対して左右どちらかに振り、少し奥（後ろ）の位置に生けます。生ける前にどちらのバラをどう見た方が美しいか、考えてからいけるとよりいいでしょう」と教えてくれました。艶やかなダーシー２本と爽やかなグリーンの葉にグレーのガラスベースが合っていますね。２本のバラが同じ方向よりも、向きが違う方向に生けるなんて上級者感がありますね。

さて、１回目の最後は、今ブームとも言える一輪挿しの生け方です。
簡単そうですが、奥が深そうです。
「一輪挿しというと真っ直ぐ花を生けるイメージがありますが、実はイングリッシュローズを生けるにはあまり向いていないかもしれません。でも今回届いたイングリッシュローズのなかに１本、直立で生けたら、素敵なバラが合ったので、生けてみました」。

（品種名キーラ）
　

「キーラは茎がしっかりしていて、花も真っ直ぐだったので、すらりとした花瓶に生けてみました」確かに花が上向きでさっきの印象とはまた違いますね。しっとりとした雰囲気の花瓶とキーラがよく合います。

「キーラみたいなイングリッシュローズは稀ですよね。イングリッシュローズを１輪で生けるときは、どんな花かということを考えてみましょう。庭で咲くイメージが湧いてきませんか。私は可憐な茎のバラが庭に咲いている姿を想像しながら、生けてみました」という円谷先生が生けてくれたのは、この２つです。

（品種名チャリー）

（品種エディス）

「庭に咲いているなら、少し首を傾げて咲いているだろうな、と生ける前に花も茎が華奢なものをあえて選びました。自然な雰囲気で生けたいなら、イングリッシュローズは少し弛みのあるような茎のものを選ぶのもナチュラルでいいですよね。庭のような雰囲気を出せるというのが、この花の魅力でもあると思います」。

先生が次に出してきたのは、シンプルでスタイリッシュなイメージのガラスのスクエアベース。
「お持ちの人も多い形のベースですが、スクエアのベースは花を生けるのが意外に難しいんです。でもイングリッシュローズのナチュラルさよりも、スタイリッシュに飾りたいという人にはぴったりの器です」。

「頭と足元を揃えて、花瓶のふちに寄り掛かるようにばさっと生けています。左端のエディスだけ、花が大きかったのです。そこで、エディスだけ、足元の向きを変えて、他のバラと違う向きにしています。全部同じ向きだと、エディスが悪目立ちしそうなので」。１本だけ向きを変えるだけで、バランスが変わるというのも面白いですね。

「MIWA ROSE FACTORYさんのバラは本当に立派で、まとめて飾ってもどんどん開いていき、花も大きく咲くので、驚きました。届いてから4日、5日経ってもきれい。届いて4日目に陶器の花瓶に生け直してみました」。

ばさっと生けたところ。水換えのときに足元もカットしているので、到着時よりも茎は短くなっています。「ちなみにイングリッシュローズはフレッシュなイメージがあるので、フルーツを背景に少し入れると、相性がいいですよ」と先生。確かに、洋書の１ページみたい。

イングリッシュローズの魅力の一つが蕾から開花する変化です。
でも最初に蕾で生けて、その後、どんどん花が開いてくると、バランスが変わってきますよね？そんなときは、どうすればいいのでしょうか、円谷先生。
「そんなときは、水換えのときにちょっと空間が開くように花の間隔を開けてあげるといいですよ。さっきの1日後の様子も紹介しますね」

1日の変化が大きいですね。ボリュームアップした感じがよくわかります。花の開きに合わせて、少し手を加えるだけで、変化も楽しめますね。

「そうそう、花瓶代わりに水差しもおすすめですよ。水差しの口元でしっかり花が止まるので、飾りやすく、絵になります。これもエディスですが、届いて5日目のもの。直径８cmくらいとずいぶん大きくて驚きました」。

味のある洋書の上に、水差しを置くというのも素敵！１本だけでも素敵な世界観になりますね。

その２では、庭で育てた植物や雑草とイングリッシュローズの合わせた生け方を円谷先生に教えていただきます。

【教えてくれた人】
円谷しのぶ先生　福島県出身。大学卒業後、都内の花店で働きはじめたことをきっかけに花の道へ。その後、大手花店の本社教育担当やグリーンショップ担当など幅広く活躍。現在は福島県にある自宅で、庭の花を使ったレッスンやクラフト、和ハーブの教室などを開催中。
Instagramはこちら➤https://www.instagram.com/shinobu_t_2v/

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